研究所について

所長挨拶

健康と栄養にかかわる幅広い研究・実践活動を通して、いつまでも健やかに暮らせる社会の実現に貢献することをめざします。

研究所長 井澤一郎

 2024年4月より所長に就任いたしました井澤一郎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 近年、生活習慣(食事、運動、喫煙、飲酒など)といろいろな病気との関連が明らかとなってきました。健康・栄養研究所は、食べることを軸として、どのようにしたら健康的に生きていけるかをメインテーマにすえて研究・実践活動を行っています。私共が大切に考えていることや特に注目している課題について挙げてみます。

  1. ① 適切な量・質の栄養を摂取し、消費できているか?
    • ・摂取エネルギー量が多すぎたり、運動不足だと肥満につながります。
    • ・脂質を摂りすぎると動脈硬化をおこす危険があります。
    • ・5大栄養素のひとつであるビタミン(A, B群, C, D, E, K)を適切に摂取する必要があります。
    • ・年齢(ライフステージ)や病気に応じた食事・栄養があります。
  2. ② 和食・地中海食などの健康増進効果はどのようなものか?
  3. ③ 高齢者、地域在住者、児童・生徒・学生、糖尿病患者などにおいて、食事・栄養状態・生活習慣と健康状態はどのような関連があるのか? また、栄養状態の評価をどのように行い、それをもとにどのように栄養指導・食育を行っていけばよいのか?
  4. ④ 食物アレルギーの病態の解明と、患児・患者の方の食事・栄養を改善する治療法は?
  5. ⑤ ビタミンEの体内での代謝や、ゴマの機能性成分はどのようなものか?
  6. ⑥ 病院の急性期患者(集中治療室入院患者)に管理栄養士がどのように栄養介入を行っていくべきか?
  7. ⑦ 適切な食環境のもと、安心・安全な食事・食品が提供され、楽しく食事できているか?
  8. ⑧ 酸性電解水による食品洗浄処理はどのような殺菌効果をもっているのか?
  9. ⑨ 美味しく食べられるように、調理法、配膳法、食器、メニューの提示法などをどのように工夫したらよいか?
  10. ⑩ フレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)やサルコペニア(加齢による筋肉量の減少および筋力の低下)に陥ることを予防し、要介護になってしまうことや認知症などの発症を少なくするために、食事を含めたどのような社会的アプローチが必要か?
  11. ⑪ 高齢で一人暮らしの方の食事をサポートし、社会とのつながりを保つためにどのような方策が必要か?
  12. ⑫ 家庭環境が厳しい状況下にある児童・生徒の食事・教育などをどのようにサポートできるのか?
  13. ⑬ コロナ禍が児童の学力にどのような影響をおよぼしたのか?

 上記の課題など(上記以外もたくさんございます)を解決するために、前任(第3代)の所長を務められた下方浩史教授のもとで推し進められてきた研究・実践活動を、さらに充実・発展させていきたいと考えております。

 最後になりましたが、これまで研究所に頂戴いたしました、周辺自治体・病院・保健所・福祉施設・事業所・企業・ボランティア団体などの関係者の皆さま、そして、住民の皆さまからの多大なご助力に深謝申し上げます。これからも地域・社会のお役に立てるよう研鑽してまいりますので、変わらぬご指導・ご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

井澤一郎 (いざわいちろう) プロフィール

[1985年3月]
神戸大学医学部卒業、医師免許取得、脳神経外科医として勤務

[1991年11月~1994年3月 ]
米国テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター留学

[1996年3月]
神戸大学大学院医学研究科(外科学系脳神経外科学専攻)博士課程修了(医学博士)

[1996年7月]
キリンビール株式会社 契約社員(奈良先端科学技術大学院大学細胞内情報学講座にてポスドク)

[1998年7月]
愛知県がんセンター研究所 主任研究員

[2006年4月]
同研究所 室長

[2016年4月~]
名古屋学芸大学管理栄養学部 兼 大学院栄養科学研究科 教授

[2024年4月~]
名古屋学芸大学 健康・栄養研究所 所長

足立己幸

・専門分野:分子医学、生化学、細胞生物学、脳神経外科学
・研究テーマ:細胞内情報伝達経路の解明、細胞極性制御機構の解明、脳腫瘍の病態解明と治療への応用
・所属学会:日本癌学会、日本細胞生物学会、日本脳神経外科学会、日本栄養改善学会、米国癌学会(AACR)