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2018年度 食品安全マネジメントシステム研修会(12/21金)のご報告

2018年12月21日(金)13:50~17:00に本学図書館5階 多目的室にて、2018年度第1回目となる食品安全マネジメントシステム研修会を開催し、社会人27名、本学学生8名が参加しました。

「微生物検査法」をテーマに、東京農業大学 応用生物科学部 五十君靜信教授(「HACCP制度化における微生物検査の考え方」)、日本食品分析センター 名古屋支所 太田順司氏(「一検査機関から見た微生物検査の今後」)、株式会社アイズ 品質管理部 松岡由高氏(「微生物検査~食品工場における必要性~」)の3名を講師にお招きしご講演をいただきました。

その後、講演をもとに参加者が意見交換、情報交換を行いました。

【後日参加者から提出されたレポートより(抜粋)】

  • HACCP制度化へ至る流れや、重要性については講義を通じて、理解を深めることができました。特に、HACCP制度化は輸出や輸入に関して非常に重要な役割であることや、食品最大のリスク(食品が食べられなくなること)に関わることについては初めて知りました。
    微生物学的リスクのための「数的指標」の導入については、微生物学的基準(特にサンプリングプラン)の講義については内容が難しく自分自身が理解できていない点であったが、講義を通じて、少しながら理解することができました。
    また、民間の検査会社としての課題点や試験所の能力維持の重要性といった点については質疑応答を含め、非常に参考になりました。
    今回、参加し非常に勉強になったので、次回も機会があれば参加したいと思いました。
    また、様々な方と交流し、情報交換を行うことができました。
  • 五十君先生の講義を拝聴し、自身の業務の根拠となる微生物基準等がどのように設定されるのかという点に目を向けることができました。公衆衛生上の目標が確かな根拠を持って微生物学的に測定できるように設定されていることを実感し、規格基準の順守の重要性を改めて感じました。
    また、太田先生や松岡先生の講義からは微生物検査は今後HACCPプランの妥当性の評価等のためにも重要な位置づけとなることがわかりました。
    微生物検査の重要性を強く感じたところですが、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(B基準)を行うこととされた施設の多くは微生物検査を行うことが困難な施設です。衛生管理の評価を微生物検査を用いて行うことはもちろん、管理基準を微生物検査等を用いて設定・検証等することは到底困難な状況です。
    このため、今後は微生物検査等科学的根拠に基づいた「充分な加熱と判断される肉の色」等のB基準施設が管理基準として利用できる情報をより多く提供する必要があると考えます。行政としてもそのような情報の収集・提供に努める必要があると感じるとともに、HACCPに基づく衛生管理(A基準)を行う施設等で微生物検査等を行って検証した結果等が広く還元されることを望みます。
  • HACCP制度化により、微生物学的な評価は益々必要となるが、今回学んだサンプリングプランに基づいて目的適合性を明確にし、無駄のない方法を検討することが重要だと感じた。
    そのためにもサンプリングプランについて充分理解し、基準Bを目指す事業者に分かりやすく伝えることがHACCP普及につながると考える。
  • 今回の食品衛生法の改正に伴っては、国が食品業界により関与していく姿勢を示すものとなっている(営業許可の見直し、HACCP義務化、製品回収の報告義務等)。また、食のグローバル化に伴って、日本の管理基準を世界の管理基準に合わせることが目的である。
    また、食品衛生法改正の大きな変更点の一つであるHACCP義務化は、各社にてすでに行われている一般的衛生管理を見える化することを目的にしている。よってHACCP義務化に伴って関係各所が新たに対応すべきことはない。したがって、自社だけが食品安全を行うのではなく、関係する企業が連携することによって食品安全が強く担保されると考える。
    今後、HACCP制度化により製品の検査の重要性も増していくだろう。
  • HACCPの義務化に向けたと取り組みとして微生物検査をテーマに今回の研修会に参加し、貴重な経験をさせていただきました。
    食品製造あるいは流通の現場では微生物の検査には正確な菌数の測定のために複雑で時間のかかる方法よりも迅速かつ簡便な方法の方がコスト面では当然有利であり、広く企業に取り入れられると思います。これからのHACCPが一般的になるためには現場に即した実践的なマニュアルが必要なこと、またHACCPを継続的に実施できているかの監査をすすめ多くの企業が情報を得られる状態になる環境づくりが重要であると考えています。
    私的な考えではありますが、あらゆる食品が消費者の口に入るまでに微生物の検査のほか多くの検査を受けるが、全数検査は不可能で実際には総数に比べごく少数のみのデータしか得られていない現状を踏まえると検査そのものが重要ではなく食中毒となるリスクが少なくなる食品の取り扱いが大切だという思いが今回の発表でより補強されました。
    今回の発表で実際に食品メーカーの現場の声や聞き中小事業者の実態を調べみて、なるべく微生物検査を少なくし、迅速簡便でも同等のリスク低減効果を得ることを目標にアプローチしていくと衛生教育、マニュアルの整備がよく注目されますがHACCP導入をサポートする殺菌剤や殺菌用機器メーカーについても視野に入るようになりました。今後、メーカー企業各社との積極的な協力により一層推進されることを期待しています。