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食品安全マネジメントシステム研修会(1/19金)のご報告

2018年1月19日(金)15:35~18:45に本学図書館5階 多目的室にて、2017年度第4回目となる食品安全マネジメントシステム研修会を開催しました。参加者は16名(社会人15名、学生1名)でした。

株式会社トリドールホールディングス 品質保証部 部長の草野篤氏を講師に招き、丸亀製麺における食品安全管理と従業員教育についてご講演をいただきました。

その後、講演をもとに参加者が意見交換、情報交換を行いました。

【後日参加者から提出されたレポートより(抜粋)】

  • 日本の国民食である「うどん」について、身近な食材というイメージからシンプルなものと思っていたが、実際には、ファーストフード特有の誰でも調理できるシステマチックなラインというより、エンターテイメント的な要素が濃いことも理解できた。が、食中毒事故などのリスクは、あらゆる飲食において安全なものが無いことに驚きと、安全であることが絶対優先であり、それが、マニュアルや教育をもってするしか実現できないという絶対前提を痛切に感じ取れた。また、このことには、共通言語という社内文化の醸成と云う、強力な組織強化のポイントだと思われる。実に有益で食品安全から人事管理に至るまで、実に分かり易く拝聴できた。この様な実のある研修会を開催頂くことの重要性は素晴らしい。今後の期待も大きい。
  • 来年度以降のHACCP制度化にむけ、以前から研修会の中でもご意見のあった小規模製造業者へのA基準の適用という大きな問題があると思われます。それと同時に全飲食店営業者に課せられるB 基準をいかに徹底させていくかも大きな課題と考えます。今回のご講演では後者、つまり制度化以降はB基準が適応になる丸亀製麺等を運営する(株)トリドールホールディングスの制度化への準備についてお聞きすることができ、瀬戸保健所が抱える課題等に共通する点も多くあり、大変参考になりました。
  • トリドールホールディングス 草野様のお話は、丸亀製麺だけでなく、マクドナルドの経営の話にまで及んで、とても興味深く、楽しく聞かせていただきました。ありがとうございました。私がこの中で最も関心があったことは、質疑にも挙げさせていただいたように、経営層への理解をどのくらい得ていらしたかということでした。ISOやHACCPの勉強をしている中で、いつもこのトップの理解が得られずに苦労している品質保証部の方々のお話を聞いていましたので、丸亀製麺様がどのくらいそこに踏み込んでいかれたのかということに一番関心がありました。
    草野様のおっしゃられたように、論理的に説明ができればそれも可能であるということを実証されたことは今後同じような立場にある人たちへの希望と勇気が持てるのではないかと思っています。また、これに数値データが加わると経営層も考えざるを得ないことになるでしょうね。どの程度の費用で人材を育成すれば、どのくらいの事故等による損益が削減でき、社会に対する信頼を深めることで、会社の成長へと繋げられるのだということも、見える化していくことができれば、経営陣を納得させることも難しくはないということが見えた気がしました。
  • どの会社も教育することや、意識を変えてもらうことに苦戦しているのだと改めて考えさせられました。ルールの変更などはトップダウンとボトムアップを使い分けていましたが、教育についてはトップダウンのみで行っていました。今後は教育にもボトムアップを取り入れて、会社全体のレベルアップにつなげていきたいと考えております。大変勉強になりました。
  • 今回の研修会に参加し、特に2つの観点からの学びを得た。まず1つ目は、現場での衛生管理の状況についてである。飲食業では、食中毒の原因は食べ物そのものではなく、二次汚染や交差汚染によるものであると知った。また危害には4つ目の危害である社会的危害があり、故意的な汚染や異物混入など、悪意のある行為から食品を防御することか必要であると知った。器具の洗浄による衛生管理については、食器洗浄機の使用法について、食器洗浄機では殺菌できないということが取り上げられた。確かに熱湯を使用する為、殺菌作用があり、洗浄機に入れてしまえば大丈夫であるという考えに至りやすい。しかし器具の重なりなどによる洗浄不十分さや、そもそも熱湯の温度、洗浄時間などの使用条件が殺菌の条件を満たしていないことを知り、十分に衛生管理を行うことができるようにしなければならない。2つ目は、従業員の衛生教育である。従業員に教育するにあたって、まずは衛生管理の責任や重要性を理解してもらうため、事業の規模を理解し、自分の衛生管理の不十分さによってどれだけ大きな問題・損失に繋がるかを自覚させることが大切であると分かった。また飲食業では、離職率が高く人の入れ替わりが激しいことから、作業についてのマニュアルを作成し、共有することが必要である。マニュアルを共有するだけでなく、従業員に理解してもらう必要があり、そのためには従業員のモチベーションアップも大切である。コミュニケーションをとったり、指摘するだけでなく意識的に褒めたりすることで、意識の向上を図る。従業員教育の際、教えられる側に理解を求めるには、教える側から与えるばかりでなく、教えられる側に自分から学んだことを話しに来てもらうなどして、教わる側が自主的に行動する環境を作るとよいと分かった。また自由に記述式のアンケートでは、あまり悪い意見を書かない傾向があるため、面談などの機会を設けて、面と向かって話ができるとよいと分かった。今回の研修会を通して、従業員の教育にこれから取り組むべき課題が多いことが分かった。研修会で学んだことや気づきを生かし、今後の衛生教育の参考にしたい。(環境衛生学研究室3年 藤木千明)